離婚届けの提出方法

監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 弁護士

離婚届け

提出方法 提出する時期や添付書類について

前回の離婚届の書き方に続いて、このコラムでは離婚届の提出方法について見ていきます。

協議離婚の場合、離婚届が受理されると離婚成立になります。

単純な手続き面だけでなく、届けを提出するタイミング(離婚するタイミング)についてもお伝えしていきますので、ぜひ参考になさってください。

届けの提出は話し合いがまとまってからにしましょう

離婚の話し合い

協議離婚では、未成年の子がいる場合、最低でも子の親権者を決めなければ届けを受理してもらえません。

子の福祉を考えて、親権者だけでなく、養育費や面会交流についてもできればしっかりと取り決めをしてから届けを出す方がよいでしょう。

養育費や面会交流については、取り決めているかどうかの別をチェックする項目が離婚届にも記載されていますが、取り決めをしていなくても行政としては受理する対応を取ります。

養育費や面会交流については自分達家族のこととして、届け出の手続きとは別に、しっかり話し合って協議書などにまとめておくことが望まれます。

またお金関係では財産分与や不倫の慰謝料などが問題になりますが、この取り決めについても届けの提出前に話し合って協議書にまとめておくことを強くお薦めします。

離婚後になると、お金の支払いについて相手が協議に応じなかったり、行方が分からなくなってしまうこともあるからです。

これら必要な事項をしっかり話し合ってから、届け出に臨んでください。
(「離婚届を出す前に決めておきたい6つのこと」もご覧ください。協議書に記載する文例もご紹介しています。)

約束事をまとめる協議書は、できるだけ強制執行認諾文言付公正証書の形で作成することが望まれます。

公正証書は、公証役場で公証人に作成してもらう公の文書です。
作成するときにお金がかかりますが、相手方の不払いが起きた際に改めて裁判所の手続きをしなくても速やかに強制執行ができます。

慰謝料や財産分与については時効などの問題もあり、一定期間が経つと請求できなくなることもあります。

どのような名目でどれだけの金額をいつまで請求できるのか、こういったことを弁護士に相談して、必要な請求を行いつつ、協議書の作成を考えていきましょう。

提出先と提出方法

離婚届の提出先

それでは実際の手続き面に入りますが、離婚届の提出先としては夫婦の本籍地のある役所の他、最寄りの市区町村役場に提出することもできます。

本籍地のある役所では不要ですが、それ以外の役所に提出する場合は戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を一通添付する必要があります(令和6年(2024年)3月からは、戸籍謄本の添付が不要になります。)。

提出方法は持参でも郵送でも構いませんが、郵送して書類等に不備があった場合、窓口に行く必要が出てきます。また、離婚に伴い健康保険や国民年金等の手続きが必要になることがありますので、窓口に持参する方法をおすすめします。

持参の場合、受付時間が過ぎていれば当直の職員に手渡すこともできます。

その場合翌開庁日に担当者が確認し、不備がなければ受理されます。

その場合、受理日は提出した日に遡ります。

不備があると、開庁時間に窓口に行く必要があります。

提出できる人は?

届けは夫婦一緒でなくても、どちらか片方のみで提出は可能です。

離婚に伴って新しい戸籍を作る側が役所に出向いて手続きを行えば、届けの提出のついでに他の手続きも一緒にできるので手間が省けるでしょう。

署名が間違いなく夫婦本人によりなされた場合、届け出用紙を夫婦以外の使者が窓口に提出することもできます。

多くの役所では委任状が不要ですが使者の本人確認はなされます。

また不備があった場合は持ち帰って訂正が必要になります。

添付書類

ケースごとに、離婚届の他に以下のような添付書類が必要になります。

  • 調停離婚・・調停調書謄本
  • 和解離婚・・和解調書謄本
  • 審判離婚・・審判書謄本と確定証明書
  • 認諾離婚・・認諾調書謄本
  • 裁判離婚・・判決書謄本と確定証明書

多くの場合、届出用に戸籍届出事項のみ記載された省略謄本を裁判所に発行してもらいます。

提出先が本籍地以外の場合は、協議離婚と同様に戸籍謄本も必要になります(令和6年(2024年)3月からは、戸籍謄本の添付が不要になります。)。

また窓口で手続きをする場合は、本人確認として免許証などの提示を求められます。

提出期限

協議離婚の場合は届出に期限はありませんが、それ以外の方法による場合は届出に期限が定められています。

協議離婚以外の方法には調停、和解、審判、認諾、裁判がありますが、それぞれが成立、確定した日から10日以内に離婚届を提出することになっています。

この期限を過ぎてしまった場合でも届出自体はできますが、行政罰として5万円以下の過料に処せられることがあるので注意してください。

受理通知について

受理通知書の郵送

届けが受理されると、役所は本人確認ができていない当時者に受理通知の発送を行います。

例えば夫婦のうち妻が役所に届出する場合、妻の本人確認は行われますが夫については本人確認ができていません。

届けが出されたことを知らせるためにも、本人確認が取れていない当事者には届けの受理通知が発送されます。

大体、届けの受理から数日以内に発送されますが、役所によって多少差が出ます。

なお本当に届けが受理されたか心配な方は、離婚届受理証明書を発行してもらうことも可能です。

届けが受理されないことはある?

届けが受理されないケースとして、記載に不備があった場合があります。不備を訂正すれば受理されます。

また夫婦間の未成年の子の親権者が未定の場合も受け付けてくれないので、先に親権者を決める必要があります。

他には、夫婦のうちどちらかが離婚届の不受理申出を行っていた時にも受理されません。

この制度について次の項で見ていきます。

離婚届の不受理申出制度とは?

離婚届不受理申出

協議離婚の場合、夫婦が双方とも離婚に合意して届けの署名欄も必ず本人が署名していなければ離婚は成立しません。

ただ、離婚届の用紙を見ると分かりますが悪意を持ってやろうと思えば、相手の署名押印を偽造することはできてしまいます。

どうしても離婚したいが相手の承諾を得られない場合、勝手に届けを書いて役所に提出するということもできてしまいます。

夫婦の双方の合意がなければ法律上は離婚が成立しませんが、行政手続き上は届けが受理されてしまうことになり、戸籍上にも影響が出ます。

これを取り消すには調停や訴訟など裁判所の手続きを進めなければならず、手間も時間もかかります。

そこで、勝手に届出されそうなケースでは、あらかじめ届けが提出されても受け付けないように、役所の窓口で特別な手続きを取っておくことができます。

これを離婚届の不受理申出といい、不誠実な相手によって知らないうちに離婚させられてしまうことを避けることができます。

従来、離婚届の不受理申出は手続きを行っても有効期限があったため、その効果は限定的でした。

現在は申し出の取り下げがなされるまで有効ですので、期間を気にせず利用することができます。
但し、離婚に合意した場合で、相手が届出をするときは忘れずに不受理申出の取り下げをしておきましょう。

まとめ

離婚届の書き方に続いて、このコラムではその提出方法について見ていきました。

前回もお伝えしましたが、行政手続きというのはそれ自体それほど難しいものではありません。

しかし離婚届の場合、その手続きが及ぼす影響は非常に大きいものになるので、届けの提出に先立って、親権者だけでなく養育費や慰謝料、財産分与など揉め事に発展しそうな点は届け出前にしっかりと話し合っておく必要があります。

届け出後にはそうした話し合いが上手くできないことがあるので、必要な話し合いについて全て決着を付けてから、提出に臨むようにしましょう。

役所の担当者は養育費や慰謝料など個人的な相談には乗ってくれないので、相手との諸条件の折衝については離婚事案に詳しい弁護士を味方に付けて相談するようにしてください。

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