知らないと損する離婚の種類と流れ~種類ごとのメリット・デメリット~

監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 弁護士

離婚の種類

離婚に至る手続きには、次の5種類があります。

  • 協議離婚
  • 調停離婚
  • 審判離婚
  • 和解離婚
  • 裁判離婚

協議、調停、和解離婚は、相手との合意が成立しなければ離婚はできません。
調停、審判、和解、裁判離婚は、裁判所での手続きによって離婚します。

どの手続きで離婚するかは、相手との合意のタイミング次第です。
協議離婚したいと思っていても、相手と合意できなければ、次の手続きに進むしかありません。離婚成立までの一般的な流れは以下の図のようになります。

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ちなみに、手続きの違いによって、戸籍に記載される「離婚した日」の表示が次のように変わります。
協議離婚 : 離婚日
調停離婚 : 離婚の調停成立日
和解離婚 : 離婚の和解成立日
裁判離婚・審判離婚 : 離婚の裁判確定日

協議離婚

協議離婚とは

日本での離婚手続きで一番多いのは、協議離婚です。
協議離婚の場合は、「離婚届」が受理されて、初めて「離婚した」ことになります。

そのため、相手があなたに無断で離婚届を提出してしまうと、「離婚した」ことになってしまいます(その後、無効を求めることはできます。)。
あなたが離婚したくない場合や離婚についての話し合いの最中で、まだ子どもの親権者等が決まっていない場合、役所に「離婚届不受理申出書」を出しておくと離婚届は受理されません。

離婚届を出す前に

離婚について話し合うときに、絶対に相手と決めなくてはいけないことは、どちらが未成年の子どもの親権者になるか、ということです。
離婚届に親権者を記入しないと受理されません。

相手と決めておいた方がいいことは、次の事項です。

  • 未成年の子どもの養育費
  • 未成年の子どもとの面会交流
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割の割合

これらは決めなくても離婚はできますが、一般的に離婚後に話し合うことが難しい上に、財産分与、慰謝料そして年金分割は請求する期限があります。
そのため、離婚時に決めておくことをお勧めします。

平成24年4月から、協議離婚するときは、離婚後の子どもの養育費や面会交流について、子どもの利益を最優先に考慮して、話し合って決めるように民法に明記されました。
そこで、離婚届にも養育費や面会交流について決めたかどうかチェックする欄が設けられました。

協議離婚のメリットは、早く、お金をかけずに離婚できることです。
デメリットは、相手と直接話し合いをしなければいけないことです。
協議離婚を検討されている方は、「離婚届を出す前に」もご覧ください。

調停離婚

協議離婚で合意できなかったときは、家庭裁判所に離婚調停を申立て、第三者(調停委員)を間に入れて話し合うことになります。
離婚調停について詳しくは、「離婚調停ってどんなもの?」をご覧ください。

調停離婚のメリットは、第三者が間に入るので、相手と直接話さなくてよいことです。
デメリットは、月1回くらいのペースで平日に裁判所に行かなくてはいけないこと、離婚までに時間がかかることです。

調停で合意できると、調停成立と同時に、「離婚した」ことになります。これが調停離婚です。
成立してから10日以内に「離婚届」を提出する必要があるので、ご注意下さい。10日以内に提出しなくても離婚が無効になることはありませんが、役所に提出したときに遅れた理由を問われたり、過料に処される可能性があります。

和解離婚・裁判離婚

調停で合意できないと、調停不成立となり、調停は終了します。
次のステップは、裁判(訴訟)です。調停と裁判の違いについては後述します。

裁判離婚とは

協議や調停は「話し合い」でしたが、裁判では双方が主張立証していきます。

裁判離婚は、訴訟手続きを通じて裁判官が判断します。
法律で決まった離婚理由がなければ離婚の判決は出ません。
離婚理由については、「裁判離婚するためには」をご覧ください。

裁判官が原告と被告を離婚するとの判決を下し、その判決が確定すると、「離婚した」ことになります。これが裁判離婚です。

和解離婚とは

とはいえ、裁判でも、「話し合い」をすることもあります。
「和解」という手続きで、双方が歩み寄り、条件に合意できれば、和解成立と同時に「離婚した」ことになります。これが和解離婚です。

調停の話し合いで合意できないのに、なぜ裁判では和解できるのか不思議に思われるかもしれません。
これは、裁判官が出す判決が予想され、争っても無駄と思ったり、和解をした方が得と思われる場合、あるいはこれ以上争いを長く続けたくないという気持ちから互いに譲歩の姿勢がみられる場合などがあるからです。

裁判離婚のメリット・デメリット

裁判離婚のメリットは、法律で決まった離婚理由があれば、相手の同意なく離婚できること、弁護士に依頼すれば毎回裁判所に行かなくてもよいことです。
デメリットは、離婚までに時間がかかること、判決を下す場合は原則として本人尋問が行われること、弁護士に依頼すると費用がかかることです。

判決の確定で離婚した場合も、和解成立で離婚した場合も、成立(確定)してから10日以内に「離婚届」を提出する必要があるので、ご注意下さい。

審判離婚

審判離婚は、両当事者が出頭できない場合など特殊な場合になされます。

審判離婚になることはほとんどありませんが、審判が確定したとき「離婚した」ことになります。
確定してから10日以内に「離婚届」を提出する必要があるので、ご注意下さい。

「調停」と「裁判」は、何が違う?

法律では、離婚の申立については「調停前置主義」といって、訴訟(裁判)を起こす前に、原則としてまず調停を申し立てることになっています。
そのため、話し合いで離婚について合意できなかったときは、裁判所で離婚について決着をつけるために、まず「離婚調停」を申し立てる必要があります。
そして、「離婚調停」で合意できず、調停不成立で終了したときは、離婚訴訟を起こすことになります。

離婚における調停と裁判は、同じ家庭裁判所で行われるため、手続の延長のように思われるかもしれませんが、まったく違うものです。
特徴的な違いをみていきます。

話し合いか法的判断か

「調停」と「裁判」の最も大きな違いは、「調停」は「話し合い」ですが、「裁判」は裁判官による「法的判断」だという点です。

「調停」では、調停委員が間に入って、相手と妥協点を探り合い、お互いに歩み寄りながら、合意を目指します。そのため、合意が成立しなければ、離婚は成立せず、相手に離婚を強制することはできません。
また、自分の主張は書面ではなく口頭で調停委員に伝えることができます。

一方「裁判」では、当事者の主張が対立していても、最終的に判決を下す裁判官が、当事者がそれぞれ提出した「証拠」や裁判所の調査に基づいて事実を認定し、その上で、過去の事例(裁判例)が当てはまるか検討し、法律を適用して、離婚を認めるか否かを判断します。
そして、当事者は自分の主張を原則として書面にして提出します。

争いのある事実の認定の際、何よりも「証拠」がポイントになります。
極端にいうと、「証拠」のない事実は、事実とは認めてもらえない、ということです。
当事者は、それぞれの主張を認めてもらうため、「証拠」を提出して争います。

当事者の一方が離婚に反対しても、判決により離婚が認められると、離婚になってしまうので、強制力があるということになります。
そして、離婚の訴訟を提起しても、認められないと、請求は棄却され、離婚は成立しません。
ただ、裁判でも、「和解離婚」となることがあります。
裁判官から和解勧告され、当事者双方が和解案に合意できれば、和解調書が作成され、成立します。

離婚原因が必要か

「調停」では、当事者双方が離婚に合意すれば、経緯や理由にかかわらず、離婚できます。

一方「裁判」では、民法が定める離婚原因(不貞行為、強度の精神病、婚姻継続が難しい重大な事情など)がないと、裁判官は離婚を認めてくれません(詳しくは「裁判離婚するためには」をご覧ください。)。

そのため、離婚したい方は、離婚原因があることを「証拠」に基づいて主張立証する必要があります。

離婚したいけれど、離婚原因があることの証拠がない方は、長期間の別居が「婚姻継続が難しい重大な事情」とされているため、別居期間をある程度延ばしてから、離婚訴訟を提起することもあります。

公開か非公開か

「調停」は完全非公開で行われます。
調停では、当事者が交代で調停室に入って、調停委員に自分の意見を述べますが、調停室に入れるのは当事者と当事者の代理人である弁護士だけです。
付き添いに来た家族は、原則として調停室に入ることはできず、待合室で待つことになります。

一方「裁判」は原則として公開の法廷で行われます。
ドラマの裁判シーンで出てくるようなイメージです。そのため、傍聴席に一般の人がいる可能性があります。
ただ、裁判の手続きには「口頭弁論期日」や「弁論準備手続期日」などがあり、「口頭弁論期日」は公開の法廷ですが、「弁論準備手続期日」は法廷以外の準備室等で行われ、必ずしも公開ではありません。

終わるまでの期間

「調停」も「裁判」も、裁判所に申立書(訴状)を出して、1か月後くらいに第1回期日が指定され、相手方(被告)に裁判所から呼出状が送付(送達)されます。その後、月1回くらいのペースで行われます。

「調停」は、離婚の合意ができる見込みがあれば、当事者双方が関係資料(給与明細、源泉徴収票、通帳コピーなどの財産資料等)を出して、解決金額などのすり合わせをしていくので、半年~1年程かかります。
子どもの親権について争っている場合、親権者が決まらないと離婚できないので、離婚の合意は難しく、早めに調停不成立で終わりになることが多いです。

一方「裁判」では、最終的に裁判官が判断するための材料(主張、証拠、調査官調査報告書など)が揃うまで続きます。
調停で出した資料も、再度証拠として出し直します。
当事者双方の言い分を記した陳述書を証拠として提出し、本人尋問で述べたことも証拠として扱われます。
相手が出てこない場合や、ただ離婚の判決のみを求める場合には半年程で終わることもありますが、多くは1年程度、あるいはそれ以上かかります。

かかる費用

「調停」は、弁護士に依頼しない場合は、あまり費用はかかりません。申立書に貼る1200円の印紙、裁判所に予納する郵便代、申立書に添付する戸籍謄本の取寄せ費用として、合計3000円くらいあれば大丈夫です。

一方「裁判」では、専門的な知識が必要になってくるので、弁護士に依頼される方がいいでしょう。
弁護士費用は弁護士によって異なりますが、報酬まで含めると、100万円以上になることがあります。
また、訴状に貼る印紙は最低でも1万3000円かかります。

まとめ

離婚に至る過程ごとに上記のような違いがあるため、ご自分の状況によって選択は変わってきます。長年連れ添っている夫婦の場合は、協議離婚でも財産分与と年金分割はきっちりした方がよいです。相手に不貞行為があるなど慰謝料請求も一緒にしたい場合、ご自分に有利な「証拠」がない場合には、少し妥協してでも調停を成立させるとか、逆に決定的な「証拠」がある場合には、一切妥協せずに調停を不成立にして、離婚訴訟にするなど、戦略的な判断が必要になります。

離婚する前に、ご自身の場合はどのような選択をした方がいいか、専門家である弁護士に相談しましょう。

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