離婚問題

子どもとの面会交流

子どもとの面会交流の取り決め方法や手続き、調停の利用について

夫婦間での揉め事は様々な原因で起こりますが、夫婦げんかで終わらず、離婚にまで至ることもあります。

そして、夫婦に子どもがいる場合は問題解決への調整がより難しくなります。

自分達だけでなく、子どもに与える影響も考えなければならないからです。

子どもは、両親の不仲や離婚によって、大きな影響を受けます。
両親が争う姿を見たり、両親の間で板挟みになることで、年齢や発達段階によって、さまざまな反応が出ます。

低年齢の頃は、食事や睡眠などの生活習慣が乱れたり、かんしゃくを起こすようになるなどです。
年齢があがっていくと、自分のせいで両親が不仲になったのかと考えたり、自分のことが嫌いになって出て行ってしまったのではないかと思ったり、どちらの親も裏切れないと思い悩んだり、一方の親に敵意を抱くようになるなどです。

そうした内面の混乱によって、発熱や下痢などの身体症状、学業不振、不登校、攻撃的言動など様々な反応を示すとされています。

しかしながら、夫婦関係の改善が困難な場合、両親の別居や離婚は避けられないでしょう。
そのような場合に、子どもが別居中の親と定期的に面会交流をすることによって、それまでと変わらず両親に愛されていると実感でき、子どもに安心感を与えられ、健やかな成長を促すことができると考えられています。

このコラムでは、様々な事情のもと、親と子が別居しているときの「面会交流」について解説していきます。

面会交流とはどのようなものか?

夫婦間のトラブルによって別居に至った場合、一方の親は子どもと離れて暮らすことになります。

子と離れて暮らす親が、様々な方法で我が子と交流することを「面会交流」といいます。

かつては「面接交渉」とも呼ばれていましたが、現在は名前を変え「面会交流」と呼ばれるようになりました。

面会交流の方法としては、会って話をする、食事をする、遊びに出かけるなど直接対面するもの(直接交流といいます。)だけでなく、手紙を交換したり子の写真を送る、プレゼントを送るなど(間接交流といいます。)、普段は子どもと一緒に暮らしていない別居している親が、子どもと様々な方法で交流することができます。

宿泊を伴う面会も可能です。

面会交流は夫婦間の取り決めによって行われることから、面会交流権、つまり権利として行使することができると解釈されることがありますが、実際は親の権利として法律に定められているものではありません。

法律(民法)によれば、離婚後の子の養育監護に関する取り決めをする際には、子の利益を最も優先して考えなければならないと定めています。

つまり、子どもが健全に育つように、子の福祉を考えて実施されるのが面会交流の位置づけです。

子どもと同居している親としては、別居中の相手に対して、複雑な感情を持っていることでしょう。嫌悪感、不信感、敵対心、恐怖心など様々な思いが入り乱れているのではないでしょうか。

ただ、DVなどの特別な事情がない限り、できるだけ、子どもが引き続き両親の愛情を感じる機会を相手と協力して作っていきましょう。

親のためではなく、子の利益を確保するためのものであるということが置き去りにされがちなので、この点をしっかりと認識する必要があります。

面会交流についての取り決め方

面会交流について取り決めが必要になる場面は、夫婦が離れて暮らすことになり、子どもが片方の親に引き取られるために他方の親との接触がなくなる時です。

離婚によって夫婦が別々に暮らすことになるような場合が代表的ですが、実際はこれに限りません。

離婚はせずとも別居するという状態も、子と片親が離れて暮らすわけですから、面会交流について考える必要性が出てくるでしょう。

離婚を伴う場合は離婚協議を行う中で面会交流についても取り決め、離婚協議書に取り決め内容を記載するのが一般的です。

別居に伴う面会交流についても、取り決めた面会交流の内容を別居合意書など書面の形にして残すようにしましょう。

面会交流として取り決めるのは以下のような事項です。

①面会交流の方法

直接会って面会する、手紙を交換する、メールのやりとりをする、プレゼントを送る、学校の行事に参加する、あるいは面会する親の自宅に泊まって過ごすなど、面会交流をどのような方法で行うのかを決めます。

②面会交流の頻度

月に何回、週何回の面会交流を行うか、一回ごとの交流の時間はどれくらいかなどの頻度について取り決めます。

③引き渡しの場所と交流の場所

実際に面会するときに子どもを相手に引き渡す場所や、面会交流を行う場所について決めておきます。

④立ち会いの有無

交流中に子どもと同居する監護親またはその親族などが立ち会うことができるか否かも決めておくと良いでしょう。子がまだ年少である場合などは、監護親と離れて面会することが難しいことがあります。

⑤連絡先

面会交流について親同士で連絡をとる際の窓口となる連絡先を決めておきます。

⑥その他

祖父母との面会交流の可否や交通費の負担についてなど、お互いに合意した内容を記載します。

親同士で引渡しができない、連絡を取り合えない、立ち会いが必要だけど立ち会う人がいないなどの事情がある場合は、面会交流を支援する第三者機関を利用することもできます。

取り決めができないときは裁判所へ

もし面会交流についての話し合いが上手くいかず、面会の方法や頻度などで折り合いがつかない時は、家庭裁判所の調停を利用することもできます。
面会交流調停は離婚前の別居中でも利用することができます。

調停委員や裁判所の調査官らが関与して、子どもの年齢や性別、就学の有無、あるいは性格や生活のリズムといった内容まで汲み取って、子の健全な成長を妨げることのないように配慮した面会交流の方法が検討されます。

調停はあくまで当事者の話し合いがまとまりやすいように後押しするだけで、裁判所が一方的に決めるものではありません。

調停による話し合いが不成立となった場合は、自動的に審判に移行します。

審判では、裁判官がそれまでの調停の経緯を踏まえ、一切の事情を考慮して面会交流の内容を職権で決定します。

家事事件手続法には、子どもがその結果によって影響を受ける調停・審判の手続きにおいて、子どもの意思を考慮しなければならないと明記されています。また、子どもが15歳以上の場合は、審判において子どもの陳述を聴かなければならないとされています。

面会交流が認められないこともある

近年の裁判所の傾向としては、子の福祉が害される特段の事情が無ければ、できるだけ面会交流を認めるという立場をとっています。

しかし面会交流は子の福祉を優先して考える必要がありますから、場合によっては認められないこともあります。

例えば以下のようなケースです。

①虐待や暴力があった

面会交流を望む親が子どもに虐待を加えていた場合や、監護親に対して同居中に子どもの前で暴力を振るっていたなどの事情がある場合は、子どもの恐怖感や心理面への悪影響を考えて面接交流が制限されることがあります。

②子どもが連れ去られる可能性がある

過去に子どもを監護親から引き離し、連れ去ったことがあるなど、面会交流中に子どもを連れ去る恐れがある場合も面会交流が制限されることがあります。

立会人を付けるなどの条件を変えることで認められることもあります。

③子どもが面会を拒否している

子ども自身が別居中の親との面会を拒絶している場合、その気持ちが本心なのか、どのような理由で拒否しているのかを慎重に検討します。

調停で話し合いを進める中で、子どもや監護親が面会交流の実施に不安を感じている場合は、「試行的面会交流」が実施されることもあります。

これは、裁判所内で面会交流を望む親と子どもとを接触させ、試験的に面会交流をさせてその様子を観察するものです。

裁判所の調査官が試行的面会交流の状況を観察し、調査報告書としてまとめます。

報告書は裁判官に提出されるので、審判に移行した場合は報告書の内容が裁判官の決定に大きく影響することになります。

裁判所で決まったことを相手が守らないときは

調停や審判など裁判所で決まったことを相手が守らない時には、いくつかの対抗手段があります。

①履行勧告

手続きを取ることで、約束を守らない相手に裁判所から勧告をしてもらうことができます。

費用はかかりませんが、強制力がないので無理やり子どもに会うことはできません。

②間接強制

裁判所の調停・審判で決めた面会交流の内容が具体的な場合には、間接強制という手続きを家庭裁判所に申し立てることができます。

間接強制は、強制執行手続きのひとつで、金銭的なペナルティをもって相手に義務を履行させるように圧力をかけるものです。

面会交流を扱う事案では、物理的な力でもって無理やり子どもを連れてくるなどの行為はできません。

そこで、必要な面会交流を拒んで相手方の親に会わせないなどの行動に対して、一定の金銭の支払い命令を行います。

強制執行手続きでは、「債務名義」が必要です。
調停調書や審判がそれにあたりますが、面会交流について間接強制をする場合、ただ「面会交流をすることを認める」のみ書かれていても、間接強制を認められない可能性があります。

債務名義には、権利の内容が具体的に記載されていること、相手に「〇〇させる」または相手が「〇〇する」と記載されていることが必要です。
面会交流の場合は、少なくとも、面会交流の時期・回数・子どもの受け渡し方法などが記載されていて、相手が「面会交流することを認める」と記載されていることが望ましいです。

間接強制は必要な状態が実現するまで何度でも実施できます。

相手には金銭的なダメージを与えることができますが、それでも面会交流を拒み続ける場合はやはり強制的に従わせることはできません。

③損害賠償請求

必要な面会交流を拒まれ損害を受けたとして、損害賠償請求をすることも考えられます。

ただしこれも金銭的なダメージを与えることはできますが、相手が面会交流に応じることを確約させるものではありません。

④再調停

何らかの理由で、相手方の親が以前に取り決めた内容で面会交流を行うことが困難になっているのであれば、もう一度面会交流の調停を申し立て、話し合って取り決め内容を作り直すことも考えられます。

相手方が応じられる内容に調整することで、圧力をかけずとも面会交流が可能になることもあります。

養育費との関係について

離婚事案では養育費についても問題になることがあります。

養育費と面会交流は子どもに関わるものではありますが、基本的には別々の案件として調整を要するものです。

面会交流は親子の人間的接触によって子の健全な成長を図るものであり、養育費は金銭面で子どもの成長を支えるものです。

両者は別物として考えて調整する必要があるのですが、現実の事案では両者が駆け引きの材料にされることもあります。

例えば、別居する親が面会交流を望まない代わりに養育費も支払わない、あるいは減額する、逆に別居する親が養育費を払ってくれないから監護親が面会交流を拒否するなどです。

こうした条件交渉の材料にされることは、結局は子の福祉に反することになるので、子どものことを考えるならば決して望ましいことではありません。

前述したように、「面会交流は子どものため」です。「子どもの福祉が害されるおそれがあるといえる特段の事情」=面会交流を禁止・制限すべき事情がないのに、面会交流を拒否していると、子どもの親権者・監護者としての適格性が疑われ、「子の引き渡し」や「親権者変更」などの手続きをとられかねません。

逆に、別居中の親が子どもに同居中の親の悪口を吹き込んだり、面会交流の約束を守らずに子どもと面会するなど、子どもがストレスを感じるようなことをすると、面会交流を禁止される可能性があります。

色々と問題があって離婚に至ったような場合でも、「子どものことを優先して考える」という基本的な姿勢を忘れずにいて欲しいと思います。

まとめ

このコラムでは、離婚や別居などで両親のうち片親と子どもが離れて暮らすことになった場合の面会交流について、約束の取り決め方や手順などを見てきました。

面会交流の基本的な性質として、親の権利ではなく子どもの福祉を考えてなされるべきものである点は、絶対に忘れないようにしてほしいと思います。

基本的には夫婦が自主的に取り決めて実施することになりますが、離婚する場合でも別居にとどまる場合でも、必ず約束事は書面にして残しておくようにしてください。

話し合いが上手くいかない時は家庭裁判所の調停を利用することもできます。

面会交流についてお悩みの方は、まずは離婚事案に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします。

お問い合わせ

047-472-4530

フォームからの相談のご予約はこちら

当事務所へのアクセス

牧野法律事務所 アクセスマップ 大きな地図で見る

〒274-0825
千葉県船橋市前原西
2丁目13番13号大塚ビル5F
JR津田沼駅北口 徒歩2分
新京成線新津田沼駅から徒歩5分
JR船橋駅よりJR総武線6分(快速3分)