隣の空き家・空き地のトラブルに 持ち主を登記から調べる方法とその後の対応について

監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 弁護士

空き家空き地のイメージ
  • 隣の空き地に雑草が茂っていて、不法投棄のゴミが山積みになっているのをどうにかしてほしい。
  • 隣の空き地に生えている木の根っこと枝が私の敷地に入ってきていて邪魔なので切りたい。
  • 隣の家がいつの間にか空き家になっている。窓が割れて、小動物が住み着いているようだが、どうしたらいいのかわからない。

隣の家や土地について困ったことがあれば、まず、その隣の家や土地の持ち主にその旨を伝えて、対処してもらうことになります。困っているからと言って、自力でどうにかすると問題になる可能性があります。ただし、隣から伸びてきた根っこが自分の敷地に入ってきたときは、隣の持ち主に断りなく、根っこを切ることができます(民法233条4項)。
まずは隣の所有者へ
隣の家や土地の持ち主がわからない場合、まずは隣の家や土地の「登記情報」を取得して、持ち主を特定しましょう(家の場合、家の持ち主と土地の持ち主が違うときもあるので、家と土地それぞれの持ち主を確認しましょう。)。
「登記情報」は、有料ですが、誰でも取得できるものです。
このコラムでは、建物や土地の持ち主(所有者)を調べる方法と、その後の対応についてご紹介します。

「登記情報」は「登記情報提供サービス」から取得可能

「登記情報」は、法務局で管理している登記情報を記載しているものです。
同じく登記情報を記載しているものに「登記事項証明書(とうきじこうしょうめいしょ)」があります。違いは、「証明書」として使えるかどうかです。
今回のように、目的が家や土地の持ち主を調べることならば、「登記情報」でも十分でしょう。持ち主に対して裁判所の手続きをする場合は、「登記事項証明書」を取得する必要が出てきますので、このコラムでは、どちらについてもご紹介します。

「登記情報」は、一般財団法人民事法務協会が運営している「登記情報提供サービス」からオンライン(インターネット)で取得します。
① 「登記情報提供サービス」で「一時利用」の利用申込みをする一時利用申し込み
② ログインをするログイン
③ 「不動産請求」のタブをクリックする不動産請求
④ 必要事項を入力し、「確定」をクリックする必要事項入力
⑤ 不動産一覧の□に☑を入れて、「請求」をクリックする請求
⑥ クレジットカードの情報を入力するクレジットカード入力
⑦ カード情報入力確認画面の内容を確認し、「請求」をクリックする
※不動産登記情報(全部事項)の手数料:331円/1通
⑧ ステータス欄が「請求済」になっていることを確認して、「表示・保存」をクリックする(「請求済」になっていない場合は、「最新表示」をクリック)表示・保存
⑨ PDFファイルを印刷する

注意!地番・家屋番号は住所とは別物

登記情報を請求するときに、必要な不動産の情報(所在、地番・家屋番号)を入力します。

ここでの注意点は、「地番」や「家屋番号」と呼ばれる、登記記録上の番号です。この「地番」や「家屋番号」は、いわゆる住所(住居表示)と全く別物なので、一致しない場合があります。

地番
不動産登記法により定められた土地の番号のことです。
境界で区切られた1区画(=一筆(いっぴつ))ごとに、地番がつけられています。
登記簿には、一筆ごとに、土地の所在する市、区、郡、町、村及び字、地番、地目、地積、所有者などが記録されています。
家屋番号
登記されている建物ごとに付けられた番号のことです。
実際に建物が存在していても、登記していない(=未登記)建物の場合、家屋番号はありません。
住居表示
建物の住所をわかりやすく表示するためのものです。
住居表示に関する法律にもとづき、市区町村ごとに管理をしています。
住居表示は、町名+街区符号+住居番号で表します。
例:(町名)前原西2丁目+(街区符号)13番+(住居番号)13号

「住居番号」は、建物に付番するため、道路、駐車場等の建物のない土地には「地番」はあっても「住居番号」はありません。

地番・家屋番号の調べ方

隣の土地の地番、隣の家の家屋番号を把握されている方は少ないのではないでしょうか。

隣の不動産の地番がわからない方は、次の方法で調べましょう。
1.登記情報サービスの「地番検索サービス」で調べる
2.登記情報サービスの「地図」(公図)から調べる
3.法務局に聞く

隣の家の家屋番号がわからない方は、次の方法で調べましょう。
3.法務局に聞く
4.まずは家がある土地の地番を上の1か2の方法で調べてから登記情報サービスの「土地からの建物検索指定」で家屋番号を調べる

1.登記情報サービスの「地番検索サービス」で調べる

登記情報サービスの「不動産請求」のタブには、「地番検索サービス」があります。
① 「地番検索サービス」をクリックして、利用規約に同意する地番検索サービス
② 必要な土地の住所を検索する住所検索
③ 右側に地図が表示される(黒字が住宅地図です。重なるように記載されている青字が境界線と地番です)
④ 必要な土地の部分をクリックすると、「選択所在名称」が表示される
⑤ 下部の「所在+地番送信」をクリックすると、「不動産請求」に選択した地番が入力される所在地番送信
⑥ そのまま土地の登記情報を請求する

2.登記情報サービスの「地図」から調べる

自分の土地の地番がわかっている方は、「地図」を見れば、自分の土地の隣の地番がわかります。
「地図」は、住宅地図とは違い、境界線と各土地の地番などが記載されているもので、各土地の形状や位置関係がわかりやすいです。「地図」は有料(361円/1通)です。これが地図
① 不動産請求のタブの「所在」「地番・家屋番号」に自分の土地の所在、地番を入力する
② 「請求内容選択」で「地図」に☑を入れて、「確定」をクリックする地図請求
③ 不動産一覧の□に☑を入れて、「請求」をクリックする
④ 請求事項確認の□に☑を入れて、「請求」をクリックする
⑤ クレジットカードの情報を入力する
⑥ カード情報入力確認画面の内容を確認し、「請求」をクリックする
⑦ ステータス欄が「請求済」になっていることを確認して、「表示・保存」をクリックする(「請求済」になっていない場合は、「最新表示」をクリック)
⑧ PDFファイルを印刷する
⑨ 自分の土地の隣の地番を確認する

3.法務局に聞く

法務局では、電話で地番・家屋番号の照会ができる場合があります。
法務局に電話
① インターネットで「●●市 法務局 管轄(かんかつ)」のように検索し、必要な不動産を管轄する法務局を調べる
② 管轄する法務局のサイトで「地番・家屋番号の照会」の問い合わせ電話番号を確認して、電話をする
③ 「地番(家屋番号)の照会をしたいです。」と伝えて、必要な不動産の住所を言う
④ 教えてくれる地番・家屋番号をメモする

4.家の土地の地番を調べてから登記情報サービスの「土地からの建物検索指定」で家屋番号を調べる

① 「不動産請求」のタブの「請求方法」の「土地からの建物検索指定」に☑を入れて、「土地からの建物検索」をクリックする土地からの建物検索
建物検索
② 「土地の所在」「地番」を入力して、「建物検索」をクリックする
③ 表示された建物の□に☑を入れて、「確定」をクリックする建物請求
④ そのまま建物の登記情報を請求する

登記情報から持ち主(所有者)を特定

登記情報を取得できたら、隣の土地・家の持ち主(所有者)を確認しましょう。
登記情報は大きく二つの表に分かれています。「表題部」と「権利部(甲区)」です。不動産によっては、「表題部」だけの場合や「権利部(乙区)」がある場合もあります。

今回大事なのは、「権利部(甲区)」です。ここに持ち主(所有者)の情報が記載されています。
順位番号のうち、一番大きい番号の「所有者」が、現在の登記上の持ち主です。
現在の登記上の所有者
「所有者」ではなく「共有者」だった場合、この不動産を複数人で共有していることになります。「持分」の分数が、その人が持っている権利の割合です。共有者が多く、「持分移転」が繰り返されていると、現在誰が共有者か把握するのが大変になります。

注意!登記情報の住所・名前が現在の住所・名前とは限らない

「権利部(甲区)」に記載されている住所と名前は、この不動産の持ち主になった時点での住所と名前です。

引っ越して、住所の変更登記をしている場合は、新しい住所が記載されますが、変更登記をしない人もいます。
結婚して、名前の変更登記をしている場合は、新しい名前が記載されますが、変更登記をしない人もいます。
※2026年4月1日から変更登記が義務化されます。

そこで、登記情報の住所・名前が現在の住所・名前かどうか、確認する必要があります。

登記情報の住所が近所であれば、実際に行ってみて、表札の名前を確認するのが早いでしょう。
その方法が難しい場合は、住民票を確認することになります。

住民票は誰にでも交付されるものではありません。「自己の権利行使・義務履行のために住民票の記載事項を確認する必要がある者」であることを明確に示す必要があります。
例えば、隣の空き地に雑草が茂っていて、不法投棄のゴミが山積みになっている写真、自分の家と隣の空き地の位置関係がわかる写真、自分の土地と隣の土地の登記情報など、請求する必要があることを役所の人にわかってもらう資料を持っていきましょう。

登記上の所有者が亡くなっているときは相続人探し

住民票を確認して、登記上の所有者が亡くなっている場合は、その方の相続人を探すことになります。亡くなった方が持っていた財産は、亡くなったと同時に自動的に法定相続人に受け継がれます。

相続人探しは、亡くなった方の戸籍謄本をさかのぼって取得して、行います。戸籍謄本も住民票と同じで、誰にでも交付されるものではありません。「自己の権利行使・義務履行のために戸籍の記載事項を確認する必要がある者」であることを明確に示す必要があります。

また、戸籍謄本の交付申請をする際には、本籍地と筆頭者を申請書に記載しなくてはいけません。本籍地と筆頭者は、住民票から調べます。本籍地と筆頭者の記載のある住民票の交付申請をすることができます。

法定相続人について詳しくは「相続人とその法定相続分について」をご覧ください。
戸籍について詳しくは、「相続手続きで必要な戸籍を集める方法」「相続手続きのために死亡から出生まで戸籍をさかのぼる方法」をご覧ください。

隣の空き家・空き地の持ち主がわかった後の流れ

隣の空き家・空き地の持ち主とその住所が判明したら、その方に対して対応をお願いする手紙を出しましょう。
手紙は、内容証明郵便で出した方が良いでしょう。通知の内容を後日証明することができるので、裁判所の手続きをする際に証拠になります。

対応をお願いする手紙を出す

対応をお願いする手紙は、以下の文例を参考にしてください。

通 知 書

 私は、貴殿所有の千葉県船橋市前原西2丁目13番14号の土地(以下「貴殿土地」といいます。)に隣接する同13番13号の土地(以下「本件土地」といいます。)を所有するものです。貴殿土地に育成する木の枝が本件土地にせり出し(以下、せり出している木の枝を「本件枝」といいます。)、私の家の中が暗くなるという支障が生じています。
そのため、貴殿に対し、本通知書到達から1か月以内に、本件枝を切除することを求めます。期間内に本件枝を切除しない場合には、私が本件枝を切除することをあらかじめ申し添えます。

千葉県習志野市●●
甲山 太郎 様
令和8年●月●日

千葉県船橋市前原西2丁目13番13号

通知人 乙川 花子

手紙を見て、対応してもらえれば、問題解決です。
手紙が届かない、受け取らない、受け取ったけれど対応してくれない、などの場合は、次の策を考えることになります。

なお、隣の空き地に生えている木の枝が敷地に入ってきている場合、木の所有者に枝を切除するように言ったのに、相当の期間内に切除しないときは、越境した枝を切っても良いことになっています(民法233条3項)。

手紙に反応がないときは弁護士に相談

手紙を出しても解決できなかったときは、弁護士に相談しましょう。
弁護士からもう一度手紙を出す、すぐに裁判所の手続きをとる、などが考えられます。

裁判所の手続きでは、「管理不全土地・建物管理命令申立て」があります。
2023年4月1日から始まった制度です。

「裁判所は、所有者による土地(建物)の管理が不適当であることによって他人の権利または法律上保護される利益が侵害され、または侵害されるおそれがある場合において、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、当該土地を対象として、管理不全土地(建物)管理人による管理を命ずる処分をすることができる。」(民法264条の9、1項)

裁判所に選任された管理人は、対象となる土地・建物の保存、利用、改良行為をすることができます。
管理人が管理のために発生した費用や管理人の報酬は、所有者の負担です。

  • 隣の空き地に雑草が茂っていて、不法投棄のゴミが山積みになっているのをどうにかしてほしい。
  • 隣の家がいつの間にか空き家になっている。窓が割れて、小動物が住み着いているようだが、どうしたらいいのかわからない。

以上のような問題は、管理人が対処してくれるでしょう。

登記事項証明書の取得方法

裁判所の手続きで必要な「登記事項証明書」は、法務局で発行します。
請求方法は、以下の3つです。
1.法務局の窓口で請求書を提出
2.法務局に請求書を郵送
3.オンライン(インターネット)申請

1.法務局の窓口で請求書を提出

① 最寄りの法務局の証明書発行窓口に行く
   ※対象となる土地・建物を管轄する法務局以外の法務局でも大丈夫
② 交付請求書に必要事項を記入し、手数料(収入印紙)を交付請求書に貼る
   ※登記事項証明書の手数料:600円/1通
    登記事項証明書の1通の枚数が50枚を超える場合は、以後50枚ごとに100円加算
③ 交付請求書を窓口に提出する
④ 窓口で登記事項証明書を受け取る

2.法務局に請求書を郵送

① 法務局のホームページから交付請求書を印刷する
② 交付請求書に必要事項を記入し、手数料(収入印紙)を交付請求書に貼る
   ※登記事項証明書の手数料:600円/1通
    登記事項証明書の1通の枚数が50枚を超える場合は、以後50枚ごとに100円加算
③ 交付請求書と返信用封筒を最寄りの法務局に郵送する
④ 郵送されてくる登記事項証明書を受け取る

3.オンライン(インターネット)申請

① 「Webブラウザから、かんたん登記・供託申請」の上部にある「申請書作成」をクリックする
② 「登記事項証明書や地図・図面証明書を請求したい」の「この手続きを選択」をクリックする
③ 「進む(申請情報入力)」をクリックする
④ 「申請者IDをお持ちでない場合」をクリックする
⑤ 利用規約に同意して、申請者情報を登録する(無料)
⑥ 「請求する証明書を入力する」をクリックして、「物件情報を検索する」をクリックする
⑦ 必要事項を入力し、「確定」をクリックする
⑧ 入力された情報を確認し、「確定」をクリックする
⑨ 交付方法を「郵送」か「窓口受取」か選び、「登記所を選択する」をクリックする
⑩ 最寄りの法務局を選択し、「進む(申請内容確認)」をクリックする
⑪ 申請内容に間違いがなければ「進む(送信)」をクリックする
⑫ 「処理状況の確認」の画面に「納付」が出てきたら、「納付」をクリックする
⑬ 手数料を電子納付(ペイジー、インターネットバンキング、モバイルバンキング)する
   ※登記事項証明書の手数料(郵送の場合):500円/1通
    登記事項証明書の手数料(窓口受取の場合):480円/1通
    登記事項証明書の1通の枚数が50枚を超える場合は、以後50枚ごとに100円加算
⑭ 交付方法を「郵送」にした場合、郵送されてくる登記事項証明書を受け取る
  交付方法を「窓口受取」にした場合、請求先の法務局の窓口で以下の事項を記載したメモを渡し、登記事項証明書を受け取る
  ・証明書の受取人の氏名・住所
  ・請求に係る通数
  ・申請番号

隣の空き家・空き地の持ち主がわからなかったら

  • 登記情報を取得して、持ち主(所有者)を確認したけれど、住民票を交付してもらえなかった。
  • 持ち主(所有者)の住民票を交付してもらえたけれど、すでに亡くなっていた。相続人の調査をしようとしたけれど、戸籍を交付してもらえなかった。
  • 登記情報を取得することができなかった。

隣の空き家・空き地の持ち主がわからなかったら、弁護士に相談しましょう。
弁護士は、受任した事件に必要な住民票や戸籍謄本を職権で交付申請できます。

また、持ち主がわからないときの裁判所の手続きもあります。「所有者不明土地・建物管理命令」です。
こちらも2023年4月1日から始まった制度です。

「裁判所は、所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地(土地が数人の共有に属する場合にあっては、共有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない土地の共有持分)について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、その請求に係る土地又は共有持分を対象として、所有者不明土地管理人による管理を命ずる処分をすることができる。」(民法264条の2、1項)

裁判所に選任された管理人は、対象となる土地・建物の保存、利用、改良行為をすることができます。
管理人が管理のために発生した費用や管理人の報酬は、所有者の負担です。

隣の空き家・空き地のお困りごとについて、まずは、弁護士に相談することをおすすめいたします。

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