請求相手の居場所がわからないとき

お金を貸した相手に支払を請求したいけれど、相手の居場所がわからない・・・。
突然家を出て行った相手に離婚請求したいけれど、相手の居場所がわからない・・・。
交際相手と別れた後に妊娠がわかり、相手に認知してもらいたいけれど居場所がわからない・・・。

相手に何か請求したいとき、請求する相手がどこに住んでいるのかわかっていれば、内容証明郵便を送ったり、調停を申し立てたり、裁判をおこしたりできます。
しかし、相手の住所地がわからないときは、どうしたらいいのでしょうか。

居場所のわからない相手に対して、なすすべなし、では逃げ得を認めることになってしまいます。
そこで、法律では居場所のわからない相手に対して意思表示がなされたものと「みなす」方法や、居場所のわからない相手に対して裁判をおこす方法が決められています。

ただ、問題は請求内容(相手にしてもらいたいこと)の実現が可能なのか、ということでしょう。
その点をあらかじめ検討しておかないと、手間と費用と時間だけがかかって、無駄骨ということになりかねません。
このコラムでは、お金を返してもらいたいけれど相手の居場所がわからない場合の対処方法を考えていきます。

なお、弁護士に相手への請求を依頼した場合、弁護士の職務上請求を利用して相手の住民票や戸籍の附票を取寄せる、弁護士会照会と呼ばれる照会制度を利用して携帯電話の番号から住所を調べる、などの調査を行うことができます。

居場所のわからない相手にお金を返してもらいたい場合

相手からお金を返してもらうためには、まず、相手が財産を持っているかどうかがポイントになります。

相手の居場所がわからないので、相手から直接お金を返してもらうことはできず、最終的に相手の財産を強制執行(差押え)してお金を回収することになるのですが、相手が財産を持っていないと、強制執行もできないからです。

弁護士会照会で金融機関に預貯金の有無などを照会すること、裁判所の「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続」を利用して相手の財産を調査することが考えられますが、相手の住民票上の住所や生年月日など、相手を特定する情報がないと難しいでしょう。

相手が財産を持っている(例えば、売ればお金になる不動産を持っているなど)とわかっていれば、
裁判 → 判決 → 強制執行 → お金回収
の流れで手続きします。

居場所のわからない相手に裁判をおこす

裁判をおこすには、請求内容とその理由を訴状に書いて裁判所に提出します。
訴状には、相手(裁判では被告といいます。)の住所を書く必要があるのですが、現在の居場所がわからないときは、「住居所 不明(最後の住所 千葉県船橋市前原西〇丁目〇番〇号)」のように記載します。

訴状は、裁判所から被告(請求する相手)に送達(特別な方法で裁判上の書類を渡す制度)しなければならないと法律で決められています。

相手の住所がわからなくても、相手の勤務先がわかっていれば、そちらに書類を送付することができます。
調停や裁判でも、裁判所から書類を勤務先に送ってもらうことはできます。

相手の勤務先もわからず、どんなに手を尽くして探しても居場所がわからないときは、「公示送達」という方法で手続きを進めることができます。

公示送達は、裁判所が相手に他の送達方法で送達できないときに使う最終手段です。
相手の居場所がわからないことを書いた「所在調査報告書」を「公示送達の申立書」に添付して裁判所に提出します。
「所在調査報告書」は、次のような調査の結果を記載します。
・住民票上の住所を現地調査して相手が住んでいないと確認したこと
・親族や勤務先、友人等に連絡をとって居場所がわからないと回答されたこと

裁判所が公示送達での送達を認めると、次の流れで手続きが行われます。
裁判所の掲示場に送達すべき書類をいつでも交付する旨を掲示
   ↓
2週間経っても相手が書類を受け取りに来ない
   ↓
相手への送達終了

その後、裁判官が請求について証拠などを検討した上で相当と認めてくれれば、相手が裁判に出頭しないまま、請求どおりに判決が出ます。

ここでポイントなのは、裁判官が相当と認めてくれる証拠があることです。
お金を返してもらう裁判(貸金返還請求訴訟)の場合は、次のような事実を証明する必要があります。
・相手にお金を貸した
・相手と〇年〇月〇日までにお金を返してもらう約束をした
・返してもらう期限になった
手元に借用書があれば、それが証拠になります。

判決も相手に送達されることになりますが、訴状が公示送達になった場合は、判決も公示送達されます。
判決は送達されてから2週間以内に異議申し立て(控訴)がなければ、確定します。

なお、裁判は専門知識が必要になるので、弁護士に依頼することをおすすめします。

居場所のわからない相手の財産に強制執行する

「被告は、原告に対し、金〇万円を支払え。」という判決が出て、確定すれば、その判決に基づいて強制執行(差押え)することができます。

まず、差し押さえる相手の財産を特定する必要があります。
一般的なのは不動産や預貯金です。
勤務先がわかっていれば、給料を差し押さえることもできます。

強制執行は裁判所に申立書と必要書類を提出します。
問題がなければ裁判所は開始決定を出します。
その後、債務者(請求の相手)に対して開始決定の送達がされますが、このときも裁判のときと同じようにして公示送達の申立てができます。

ただ、差押えすれば請求額の全額が回収できるかというと、そうとは限りません。
預貯金の残高が足りない、不動産を買う人がいない、ほかにも相手に債権を持っている人がいて競売代金を分け合うことになる(配当額が少ない)、などが考えられます。

まとめ

居場所のわからない相手に請求するには、裁判をおこして、公示送達によって手続きをすすめる方法があります。
しかし、重要なポイントは、請求内容の実現が可能か、ということです。
せっかく勝訴判決が出ても、その内容を実現できないのであれば、手間も費用も時間も無駄になってしまいます。
一般的にお金を借りる必要のある人が、財産を持っているとは考えにくいです。

相手に請求したいことがあるけれど、居場所がわからないときは、弁護士にご相談されることをお勧めいたします。

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