養子縁組 ~普通養子縁組について~

監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 弁護士

養子縁組とは

養子縁組は、養子を養親の実の子と同じ身分にする手続きです。

縁組届が役所で受理されたときから、養親と養子は実の親子と同じように、互いに扶養義務、法定相続権が発生します。
縁組に回数制限はないので、離縁しない限り、縁組のたびに養親(養子)が増えていきます。

養子縁組によって、養子は養親の血族とも親族関係が生まれます(「血族」については、「親族、血族、姻族、そして親等の数え方」をご覧ください)。
ただ、養子の親族と養親・養親の親族との間には、親族関係は発生しません。

例えば、養子(Aさん)と養親(Bさん)との縁組前にAさんの子ども(Cちゃん)が生まれた場合、AさんとBさんが縁組届を出しても、CちゃんはBさんの(戸籍上の)孫にはなりません。
養子(Aさん)の親族であるCちゃんと養親(Bさん)は、親族にならないからです。

一方、養子(Aさん)と養親(Bさん)が縁組届を出した後にAさんの子ども(Dちゃん)が生まれた場合、DちゃんはBさんの孫になります。
養子(Aさん)と養親(Bさん)はすでに実の親子と同じになっているので、養子(Aさん)の子(Dちゃん)は養親(Bさん)の孫ということです。

養子縁組での養子の親族について

普通養子縁組と特別養子縁組

普通養子縁組と特別養子縁組

養子縁組には「普通養子縁組」と「特別養子縁組」があります。
大きな違いは、縁組によって、実の親・実の親族との関係が続くか、終了するか、ということです。

「普通養子縁組」は、縁組後も実の親族との関係が続きます。
そのため、養子は、実親と養親と、両方について互いに扶養義務、法定相続権があります。

「特別養子縁組」は、縁組によって、実の親族との関係が終了します。
「特別養子縁組」には、様々な条件があります。
「特別養子縁組」については、次回のコラム「養子縁組~特別養子縁組について~」で詳しく見ていきます。

普通養子縁組

普通養子縁組の条件

普通養子縁組をするにあたって、いくつか条件があります。

  1. 当事者の縁組意思
  2. 年齢
    • 養親は、20歳に達した者
      ※民法改正により、2022年4月1日から従前の「成人に達した者」から「20歳に達した者」になりました。
    • 養子は、養親より年少者でなければならないし、養親の尊属はダメ
      (例えば、年上の甥は年下のおじを養子にできませんし、年下のおじは年上の甥を養子にできません。)
  3. 養子が未成年者のときは、家庭裁判所の許可が必要
    (自分の孫や結婚相手の連れ子との縁組の場合は不要)
  4. 結婚している者が縁組する場合
    • 配偶者(夫または妻)の同意が必要
    • 養子が未成年者のときは、夫婦ともに養親になる
      (結婚相手の連れ子との縁組の場合は除く)
  5. 養親が後見人、養子が被後見人のときは、家庭裁判所の許可が必要
  6. 養子が15歳未満のときは、法定代理人が承諾をする

上記1~6の条件を全て満たした上で、役所に縁組届を受理されると、養子縁組が成立します。

普通養子縁組をすると・・・

縁組届が役所で受理されると、養子縁組が成立し、次のようなことになります。

  • 養親と養子が実の親子と同じになり、互いに扶養義務、法定相続権が発生
  • 養子が未成年者の場合、養子の親権者が実親から養親に変更
  • 養子と養親の親族との間に血縁関係が発生
  • 養子は、養親の氏になる
    (結婚のときに氏を変えた養子は除く)

「氏」というのは、戸籍と深く関係しています。
戸籍は、一組の夫婦・夫婦と氏が同じ子について作られ、身分関係を明らかにする事項(出生、結婚、養子縁組、死亡等)が記載されています。
養子縁組をすると、原則として、養子が養親の戸籍に入り、養親と同じ氏(姓)になります。

養子が結婚していて、結婚のときに氏(姓)が変わっていない場合は、養親の氏の新しい戸籍を作って、配偶者(夫または妻)と一緒にその戸籍に入ります。なお、「夫婦同氏」の原則から、配偶者(夫または妻)も、養親と同じ氏になります。

ここで注意しなければならないのは、縁組前に夫婦の間に生まれた子ども(Cちゃんとします。)のことです。
前述した「養子の親族と養親・養親の親族との間には、親族関係は発生しません。」のとおり、Cちゃんは養親と親族関係はないので、当然には養親の氏にはなりません。
Cちゃんが養子になった夫婦の戸籍に入るためには、Cちゃんの入籍届を役所に届け出る必要があります。

養子が結婚していて、結婚のときに配偶者(夫または妻)の姓に変わった場合、例外として、養親の氏(姓)にはなりません。
縁組よりも、夫婦の結びつきが優先されます。

離縁

普通養子縁組は、離縁届が役所で受理されると、解消します。
離縁するためには、当事者で離縁について合意していることが必要です。

  • 養子が15歳未満のときは、
    離縁後の養子の法定代理人が合意
    ⇒養子の実親が離婚している場合、実父と実母が話し合って、どちらかが離縁後の親権者(法定代理人)になる
    ⇒⇒実父か実母か親権者になる者が決まらない場合、家庭裁判所が審判
  • 養親が夫婦で養子が未成年のときは、
    夫婦がともに離縁
  • 当事者の一方が亡くなってしまったときは、
    家庭裁判所の許可を得て離縁
  • 当事者の協議で合意できないときは、
    家庭裁判所の調停で話し合い
    ⇒調停で合意できない場合、裁判
    ※裁判で離縁が認められるには、「悪意の遺棄」「生死が3年以上明らかでない」「縁組を継続し難い重大な事由がある」のいずれかの条件を満たす必要があります。

おわりに

養子縁組は、家業の継続や相続、姓の存続、墓の継承などのために行われてきました。
また、子連れ再婚のときにも、利用されています。

縁組によって、新しい親族関係が生まれますので、慎重に検討されることをおすすめします。
具体的には、養子縁組することで、養子は養親の実の子と同じ立場になりますので、養親の法定相続人になります。一方、養子と養親はお互いに扶養義務がありますので、生活費の援助や介護などをすることになります。

養子縁組についてご不明な点やお困りのことがございましたら、弁護士にご相談ください。

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