もしも、裁判所から郵便物が届いたら

監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 弁護士

突然、裁判所から郵便物が届いたら・・・驚きますね。新手の詐欺?と思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
実際、裁判所からの郵便物を装ってお金をだまし取ろうとする詐欺がありますので、注意が必要です。
(詳しくは、「訴訟最終確認通知??あやしい郵便物に注意!!」をご覧下さい。)

しかし、よくわからない、身に覚えが無いからといって、そのまま放置しておくのは危険です。重大な不利益をこうむることになるかもしれません。

詐欺かどうかは、その郵便物を差し出した裁判所に問い合わせて、内容の真偽を確認しましょう。その際、郵便物記載の電話番号ではなく別途調べた電話番号(裁判所のホームページをご覧ください。)に電話するか、又は裁判所窓口に直接行って確認しましょう。

裁判所から届く郵便物は、主に次の3種類です。

  • 支払督促
  • 訴状
  • 調停の呼出状

次に、裁判所から届く郵便物について、具体的に述べていきます。

支払督促

裁判所から届いた書類に「支払督促」と書いてあった場合、受領後2週間以内に異議申立書を裁判所に提出しないと、それが架空請求であっても、支払督促に仮執行宣言が付いて、強制執行(財産の差押)をされる可能性があります。

支払督促は、お金の支払いを督促したい人(債権者)が、裁判所に対して行う手続きです。

支払督促の流れ

債権者は、申立書に収入印紙を貼って裁判所に提出します。
  ↓
すると、お金を借りた人(債務者)に裁判所から支払督促が郵送されます(特別送達という特別な郵便です。)。
  ↓
債務者が支払督促を受領してから2週間以内に異議申し立てをしないと、
債権者が仮執行宣言の申し立てを裁判所に提出します。
  ↓
すると、請求が正当かどうかの審理がされないまま、債務者に仮執行宣言が付いた支払督促が郵送されます(特別送達)。
  ↓
債権者は仮執行宣言が付いた支払督促に基づいて強制執行(財産の差押)の申し立てができるようになります。

債務者が支払督促の異議申立てをすると、訴訟手続きに移ります。

また、仮執行宣言付の支払督促を受け取ってから2週間以内に異議申し立てをしても訴訟手続きに移りますが、債権者は仮執行宣言付支払督促で強制執行の申立てができます。
支払督促の流れ

支払督促を受け取ったら

支払督促を受け取ったら、2週間以内に異議の申し立てをするのがいいでしょう。

裁判所から送られてきた支払督促に「異議申立書」が同封されていると思います。
必要事項を記入して、送ってきた裁判所に返送するか、窓口に直接持っていきましょう。
書き方がわからないときは、裁判所に問い合わせるか、弁護士に相談しましょう。

訴状

訴状を受けとったら

裁判所から届いた書類に「訴状」と書いてあった場合、指定された日までに自分の意見を書いた「答弁書」を裁判所に提出しない、または裁判の日にも出頭しないと、訴状の内容を全て認めたとみなされてしまいます。

訴状が届いたということは、誰かがあなたに、何かを請求していて、それを裁判所に認めてもらおうとしているということです。
訴状の「原告」が、あなたを訴えている人です。請求している「何か」は、訴状の「請求の趣旨」に書かれていることです。

指定された日までに答弁書の提出が難しいときは、裁判所に連絡して、締め切りを延ばしてもらいましょう。

訴訟(裁判)の流れ

裁判を起こす人(原告)は、裁判所に認めてもらいたいことを訴状に書いて、収入印紙を貼って裁判所に提出します。
  ↓
すると、訴えられた人(被告)に裁判所から訴状と期日呼出状、答弁書の用紙が郵送されます(特別送達という特別な郵便です。)。
  ↓
訴えられた人(被告)は、裁判所に指定された日までに自分の意見を書いた答弁書を提出します。
  ↓
裁判所が指定した日(期日)に当事者が出頭して、それぞれ提出した書面の陳述をします。
なお、第1回期日については、被告は欠席しても、答弁書を陳述したものとみなしてもらえます(擬制陳述)。
  ↓
以降、約1カ月ごとの期日で、それぞれ自分の意見を書いた書面とそれを裏付ける証拠を提出します。
期日の途中で、当事者が譲歩しあって、和解が成立することもあります。
  ↓
裁判の終盤には尋問期日があります。当事者や関係者が法廷で行う証言を証拠とするものです。
  ↓
裁判官が当事者の主張、証拠を総合的に検討して、最終的な判断を下すのが判決です。
判決は法廷で言い渡されますが、多くの場合当事者は出頭しません。判決書が双方に郵送されます(特別送達)。
  ↓
当事者が判決を受領してから2週間以内に不服の申し立て(控訴)をしないと、判決は確定します。
  ↓
原告は確定した判決に基づいて強制執行(財産の差押)の申し立てができるようになります。

訴状を受け取ったら

もし、訴状を無視し、答弁書も提出せず、裁判の日にも出頭しないと、訴状の内容が嘘だらけのでたらめであっても、訴状に書かれた請求どおりの判決が出てしまいます。

相手の主張が嘘だらけのでたらめだった場合は、それを裁判官に認めてもらうために、その旨を書面に書いて、それを裏付ける証拠を提出しなければいけません。

判決も裁判所から特別送達で送られてきます。判決を受け取ってから2週間以内に裁判所に不服の申し立て(控訴)をしないと、判決は確定します。
そして、その判決が確定すると、その判決を変えるのは難しくなります。

裁判を起こした人は、判決に基づいて強制執行(財産の差押)をする可能性があります。

裁判手続きは専門的な知識が必要になるので、訴状を受け取ったら、弁護士にご相談されることをお勧めします。

調停の呼出状

調停の呼出状が届いたら

裁判所から届いた書類が調停の呼出状だった場合、支払督促や訴状のように、絶対に対応しなければ危険ということはないですが、なるべく裁判所の指示通りに対応した方がいいでしょう。

調停は、調停委員が当事者双方から交互に言い分を聞いて、歩み寄りを促し、合意に導いていく手続きです。

調停の流れ

調停を利用したい人(申立人)は、裁判所で決めたいことを申立書に書いて、収入印紙を貼って裁判所に提出します。
  ↓
すると、話し合いの当事者(相手方)に裁判所から申立書と呼出状、答弁書の用紙が郵送されます(普通郵便です。)。
  ↓
相手方とされた人は、裁判所に指定された日までに自分の意見を書いた答弁書を提出します。
  ↓
裁判所が指定した日(調停期日)に当事者が出頭して、調停委員がそれぞれから交互に話を聞きます。
  ↓
以降、約1カ月ごとの期日で、それぞれの意見をすり合わせて合意を目指します。
意見を書いた書面やそれを裏付ける証拠を提出することもあります。
  ↓
当事者が合意できたら、調停調書が作成され、調停成立で終了します。
調停調書は、判決と同じ効力を持っていて、相手が調停調書の約束を守らないと、調停調書に基づいて強制執行の申立てができます。

なお、調停に欠席しても、ペナルティはありません。
当事者が欠席して話し合いができない場合、どうしても折り合いがつかない場合、調停不成立で終了します。
ただ、事件の内容によっては、調停不成立にならず、調停に代わる決定がなされたり、審判に移行することがあります。
その場合、調停に代わる決定や審判を受け取ってから2週間以内に異議の申し立てをしないと、決定や審判が確定し、判決と同じ効力を持つようになります。
つまり、決定や審判の内容を守らないと、強制執行される可能性があるということです。

調停の呼出状を受け取ったら

調停への参加は強制ではありませんが、調停で合意できないと訴訟になることが多いので、まずは調停で相手の言い分を聞いて、合意の可能性があるか検討されることをお勧めします。

調停は、調停委員が間に入って話し合いを進めてくれるので、ご本人だけで参加されることも可能です。
ただ、調停委員は中立な立場なので、自分に有利に話し合いを進めてくれるとは限りません。
ご不明な点がありましたら、弁護士にご相談されるとよいでしょう。

まとめ

裁判所から郵便物が届くと、何か怖いもの、面倒なものに思えて、処理を後回しにしてしまう方がいらっしゃるようです。
そのお気持ちもよくわかるのですが、まずは封筒を開けて、書類に書いてあることを読んでみてください。
そして、わからない言葉や内容があったときは、誰かに(できれば弁護士に)相談してみてください。

一番怖いのは、そのまま放っておいて、回復が難しい損害が発生することです。

お客様から「裁判所から判決が届いたのですが、どうしたらいいのでしょうか。」と質問をいただくことがあります。
「判決」が届いてからでは、対処の方法が限られてしまいます。
まず、「訴状」が届いたときに、一度ご相談いただければと思います。

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