容疑者?被告人?刑事事件の呼び方
監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 牧野 房江弁護士
1.刑事事件での呼ばれ方
ニュースを見ていると、刑事事件について疑われている人は、いろいろな呼び方で呼ばれていますね。
〇〇容疑者や〇〇被告、ときには他の呼び方をされることもあります。
実は、これらは全てテレビ局などの報道機関の独自の呼び方にすぎません。法的には、「被疑者」か「被告人」の2通りしかないのです。
2.被疑者と被告人
簡単にいうと、検察官に起訴される前の人が「被疑者」、起訴された後の人が「被告人」です。
起訴前は、自宅にいるまま捜査される場合もありますし、逮捕される場合もあります。
俗に「書類送検」と呼ばれているのは、逮捕されていない被疑者の事件記録を警察から検察庁に渡すことです。逮捕されていなくても、起訴されることはあります。
また、逮捕されている場合と違って、検察官が起訴するかどうかを決めるまでの期限が決まっていないので、長い期間「被疑者」のまま処分が決まらないこともあります。
逮捕された場合は、最長で23日の間に、検察官が被疑者を裁判にかける(起訴する)かどうかを決めます。
起訴されると、「被疑者」は「被告人」になり、基本的には裁判が開かれます(罰金だけのときは、裁判が省略されることもあります)。裁判は一般の人でも見学可能ですから、一度刑事裁判を見てみると、実際に「被告人」と呼ばれているのがわかるでしょう。
3.おわりに
ニュースで聞く「容疑者」などの呼び方は、法的な言葉ではありませんが、テレビ局などの報道機関は事件の内容や逮捕の有無などを考えて呼び方を変えているようです。
呼び方に注意してニュースを見てみると、いろいろと発見があるかもしれません。