遺言書の書き方、作り方

監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 弁護士

遺言書は亡くなられる方が遺族に残す最後の手紙となりますが、遺産の取り分の指示など大事な内容が書かれることになります。

相続が起きた後は当然遺言した方は亡くなっていますので、遺言内容を修正することはできません。

遺言書は確実に、間違いの無いように作成しておかなければなりませんから、慎重な検討と準備が求められます。

このコラムでは今般の民法改正も踏まえて、正しい遺言書の書き方をお伝えしていきますのでぜひ参考になさってください。
遺言書を書くメリットや遺言書の種類については、「遺言書を書くメリットと種類」をご覧ください。

正しい自筆証書遺言の書き方の基本

遺言は15歳から有効に作れますが、民法できちんと方式や効力などが決められています。

亡くなった方の意思である遺言は、強い効力を持っているので、悪用されないように方式が決まっていて、逆に言うと、方式どおりに作られたものでないと、遺言としての効力を持たないことになります。
自筆証書遺言は民法で決められたルールに則って作成しなければ無効になってしまうので注意してください。

また必須ではないにしても、後々問題が発生しないように実務上の配慮も求められます。
遺言書作成に際しては以下の点に留意しましょう。

消えない筆記用具で書く

ボールペンがおススメですがマジックでも結構です。
鉛筆など消せる筆記用具は使用しないことが望ましいです。

本体は全て手書きで

遺言書本体に記載する文面は全て遺言者の手書きで書かれたものでなければなりません。
(遺言書に添付する財産目録については、パソコンで作成してプリントアウトしたものや、不動産であれば登記簿、預金口座であれば通帳のコピー等で代替が可能です。ただし、自筆以外のものを使う場合には必ず当該書類に署名押印をしなければならないことにご注意ください。)

形式上の要件を満たす

民法では遺言書に必ず作成年月日や氏名を記載し、押印をすることと定められています。

作成年月日は「日」まで正確に記載が必要で「吉日」などは不可です。
遺言者を特定できれば名前だけでも有効ですが、氏名を実名で正しく記載することが望ましいです。
押印は拇印や認印でも認められていますが、本人性の争いを防ぐために実印を使用し、印鑑証明書を添付するのが安全です。
もし文面を修正する場合は一定のルールに則って行う必要があります。

遺産の記載は正確に

相続人等に対する遺産の分配の指示では、各遺産について特定できるように正しく記載する必要があります。

例えば不動産が複数存在する場合登記簿上の正確な地番や家屋番号を記載した方が良いです。

銀行口座の預金については銀行の支店名、口座番号まで正しく記載します。
この時、当該口座に入っている預金の金額はあえて記載しないのがおススメです。
金利の関係や入出金を経て相続発生時と金額の乖離があると、後で揉める要因になってしまうからです。

法定相続人には「相続させる」

遺産の分配については、法定相続人に対しては「財産〇〇を相続させる」の表現を用います。
法定相続人以外に分配する場合は「財産〇〇を遺贈する」の表現を用いるようにします。

付言事項を活用

付言事項では遺産の分配について、なぜそのような指示をしたのか理由を記載するようにします。理由を付すことで相続人の納得感が高まり、遺産の取り分で争いが生じにくくなる可能性があります。

偽造防止に契印を

遺言書が複数枚に及ぶ場合は契印を押して書面同士の繋がりを示すようにしておくと良いでしょう。
契印は遺言書の効力に影響はありませんが、偽造変造の防止効果があります。

封をして保管

法務局の遺言書保管制度を利用せず自宅で保管する場合は、遺言書を封筒に入れて封をします。
遺言書は封筒に入れたり封をすることは必要とされていませんが、これも偽造変造の防止の役割があります。

遺留分への配慮について

遺言内容のメインとなる遺産分配については、基本的に遺言者の自由意思に基づいて好きなように配分の指示をすることができます。
どのような内容であっても、相続人がこれを尊重すれば問題にはなりません。

相続人全員の合意があれば別途遺産分割協議で遺言と異なる内容の取り決めも可能ですが、全員の合意が無い場合でも、「遺留分」の権利がある相続人は自らその権利を行使して、他の相続人から遺留分を取り戻すことができます。

遺留分は相続人のうち配偶者(夫又は妻)、子(代襲相続人含む)、直系尊属(実親)のみが持つ遺産の最低取り分で、もし遺言の内容がこの遺留分を侵害していた場合は、遺留分権利者は各自の権利として遺留分侵害請求を行い、最低取り分を確保することができます。

複数相続人がいる場合、遺留分権利者全体の遺留分(総体的遺留分)は、直系尊属のみが相続人となる場合は遺留分算定の基礎となる財産の3分の1、それ以外のケースでは2分の1です。
個別ケースでの各遺留分権利者の実際の取り分(個別的遺留分)は、総体的遺留分にそれぞれの法定相続分を掛けて算出します。
遺言の内容がこの個別的遺留分の価額を侵害する場合、遺留分権利者は遺留分侵害請求が可能になります。

親族同士の仲が悪い場合、遺留分の問題を取り上げてトラブルになることが予想されるので、最初から遺留分を侵害しない遺言内容としておくのがベターです。
それでも、被相続人の意思を尊重して権利行使をしないことも十分考えられます。
どうしても遺留分を侵害してしまう内容になる場合は、生前に関係者の了解を取っておくなどの工夫が有効です。

遺留分については、「遺留分って何?」をご覧ください。

共同遺言の禁止と遺言の撤回について

遺言書は自分以外の者と共同で作成することは認められていないので、例えば夫婦共同の遺言書を作成してしまうと無効になるので注意してください。

また遺言は好きな時に何度でも、全部または一部を書き直すことができますが、複数回作り直された遺言書がある場合、古い遺言書に抵触する箇所については撤回され、新しい遺言書が効力を持ちます。
この点、遺言の個別の内容が抵触するかしないかの問題になり、とてもややこしいことになるので、遺言書を作りかえる時には古い遺言書は完全に破棄してしまうことをお勧めします。
そうすれば個別事項の抵触箇所を探す必要はなくなり、遺言書の種類に関わらず単純に作成日の最も新しい遺言書が有効という扱いになります。

公正証書遺言を作成した後に自筆証書遺言を作成した場合、後から作成した自筆証書遺言が法的に有効であれば、公正証書遺言よりも優先されます。

まとめ

今回のコラムでは、自筆証書遺言を書く際に気を付けることについて見てきました。
昨今は遺言書の書き方マニュアルなども出回っていますが、マニュアルなどの画一的な情報では対応しきれないことが多いので、法的なトラブルが起きないようにあなたのケースではどのようにすべきなのか、相続に詳しい弁護士に一度相談することをお勧めします。

お問い合わせ

047-472-4530

フォームからの相談のご予約はこちら

当事務所へのアクセス

牧野法律事務所 アクセスマップ 大きな地図で見る

〒274-0825
千葉県船橋市前原西
2丁目13番13号大塚ビル5F
JR津田沼駅北口 徒歩2分
新京成線新津田沼駅から徒歩5分
JR船橋駅よりJR総武線6分(快速3分)

Tel.047-472-4530 [相談受付] 平日 9:30~17:30 ご相談・お問い合わせ