相続人【応用編】~相続放棄・代襲相続~
監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 牧野 房江弁護士

「相続人とその法定相続分について」で、誰が相続人になるのか、法定相続分がどのようになるのか、お話しました。
今回はその応用編として、相続放棄があった場合や、代襲相続について、Q&A形式で見ていきたいと思います。
【Q.1】
まずは基本形です。
亡くなった方は、甲山松子さんです。
誰が相続人になるでしょうか?
【A.1】
配偶者である甲山太郎さんは既に亡くなっているので相続人にはなりません。
長女の竹子さんは松子さんよりも先に亡くなっているので、竹子さんの子どもである青さんと緑さんが代襲相続します。
二女の梅子さんと長男の一郎さんは存命なので、相続人になります。
以上のとおり、相続人は、丙野梅子さん、甲山一郎さん、乙川青さん、乙川緑さんです。
相続分は、梅子さんと一郎さんが3分の1ずつ、青さんと緑さんが6分の1ずつです。
【Q.2】
次も、亡くなった方は甲山松子さんです。
Q.1と同じように見えますが、長女の竹子さんの亡くなった日が異なります。
長女の竹子さんは、松子さんよりも後に亡くなりました。
誰が相続人になるでしょうか?
【A.2】
配偶者である甲山太郎さんは既に亡くなっているので相続人にはなりません。
長女の竹子さんは、松子さんが亡くなったときには存命でした。
つまり、相続開始時には竹子さんは相続人でした。
しかし、その後竹子さんは亡くなったので、竹子さんの相続権は竹子さんの相続人に引き継がれました。
竹子さんの相続人は、配偶者である乙川一さん、子どもである青さん、緑さんです。
よって、一さん、青さん、緑さんが、松子さんの相続人になります。
二女の梅子さんと長男の一郎さんは存命なので、相続人になります。
以上のとおり、相続人は、丙野梅子さん、甲山一郎さん、乙川一さん、乙川青さん、乙川緑さんです。
相続分は、梅子さんと一郎さんが3分の1ずつ、一さんが6分の1、青さんと緑さんが12分の1ずつです。
【Q.3】
次も、亡くなった方は甲山松子さんです。
Q.1と同じように見えますが、二女の梅子さんが相続放棄しています。
誰が相続人になるでしょうか?
【A.3】
配偶者である甲山太郎さんは既に亡くなっているので相続人にはなりません。
長女の竹子さんは松子さんよりも先に亡くなっているので、竹子さんの子どもである青さんと緑さんが代襲相続します。
二女の梅子さんは、相続放棄しているので相続人にはなりません。
相続放棄をすると、その相続に関して、最初から相続人ではなかったことになります。
最初から相続人ではないので、相続放棄をした方の子(丙野強さん)が代襲相続人として相続人になることはありません。
※相続放棄については、「相続放棄とは?法的な効果や活用法、手続の仕方について」をご覧ください。
長男の一郎さんは存命なので、相続人になります。
以上のとおり、相続人は、甲山一郎さん、乙川青さん、乙川緑さんです。
相続分は、一郎さんが2分の1、青さんと緑さんが4分の1ずつです。
【Q.4】
次も、亡くなった方は甲山松子さんです。
Q.1と同じですが、長女の竹子さんの相続のときに、竹子さんの子どもである青さんと緑さんが相続放棄しています。
誰が相続人になるでしょうか?
【A.4】
配偶者である甲山太郎さんは既に亡くなっているので相続人にはなりません。
長女の竹子さんが松子さんよりも先に亡くなった際、竹子さんの子どもである青さんと緑さんが相続放棄しました。
青さんと緑さんは竹子さんの相続人ではないですが、松子さんの相続について相続放棄したわけではないので、代襲相続します。
二女の梅子さんと長男の一郎さんは存命なので、相続人になります。
以上のとおり、相続人は、丙野梅子さん、甲山一郎さん、乙川青さん、乙川緑さんです
相続分は、梅子さんと一郎さんが3分の1ずつ、青さんと緑さんが6分の1ずつです。
相続、遺産分割についてわからないことや心配なことがありましたら、弁護士に相談されることをおすすめいたします。