離婚問題

子どもと会いたい ~面会交流について 後編~

子どもと会いたい ~面会交流について 前編~」では、面会交流の意義、面会交流について書面にする際のポイントをお話いたしました。後編では、面会交流についての取り決めができないとき、裁判所で決まったことを相手が守らないときについて、お話いたします。
 

取り決めができないときは裁判所へ

相手が、面会交流の話し合いに応じてくれないときや、話がまとまらないときは、家庭裁判所の調停手続きをとることができます。調停申立てについては、裁判所ホームページに記載されています。
 

裁判所では、別居中の親が面会交流を求める目的、子どもの年齢、子どもの意見、夫婦関係が悪化した経緯、別居期間、別居後の面会交流状況、両親の事情などを複合的に検討することになります。

また、最近は、「面会交流は、子どもの福祉(子どもの利益・幸福)が害されるおそれがあるといえる特段の事情がある場合を除き、認められるべきである」という考え方が出始めています。では、「子どもの福祉が害されるおそれがあるといえる特段の事情」とは、どのような事情なのでしょうか。

例えば、

  • 別居中の親が、面会交流中に子どもを連れ去ってしまうおそれが高い場合
  • ただ、過去に子どもを連れ去ったことがあるとしても、別居中の親に、連れ去りが違法であること、子どもに大きな負担をかけることを説明し、理解を得るとともに、第三者の立会いを必要にしたり、面会場所を限定するなどして、連れ去りを防止できるような条件を定めれば、面会交流を実施できると判断される可能性はあります。
     

  • 別居中の親が、子どもに虐待を加えていた場合
  • 過去に子どもに対して暴力を振るうなどして、子どもが恐怖心を持っているときや、面会交流中に子どもに暴力を振るうなどする可能性が高いとき、または子どもの面前で、別居中の親が同居中の親に対して暴力をふるっていたときは、面会交流を禁止・制限すべき事情にあたるといえます。
     

  • 子どもが面会交流を拒否している場合
  • 子どもが別居中の親と会いたくないと言っているときは、それが子どもの本心なのか、なぜ拒否しているのか、などを慎重に検討した上で、面会交流を実施できるかどうか検討することになります。

 
調停や審判手続きでは、当事者がそれぞれ、自分の意見を裏付ける証拠を裁判所に提出します。
 
それに加えて、心理学、教育学、社会学などの専門知識・技法を持つ家庭裁判所調査官が、裁判官の指示のもと、子どもや両親の生活状況、子どもの意思などを調査し、面会交流が可能なのか、どのような方法による面会交流が良いのか検討することがあります。調査官は、調査した結果を調査報告書にまとめて裁判官に提出します。
 
また、「試行的面会交流」が行われることもあります。これは、同居中の親や子どもが面会交流に不安を持っているときに、試しに面会交流を行って本実施の方法などを検討するためのものです。裁判所の一室で、子どもと別居中の親が面会交流をして、それに家庭裁判所調査官が立ち会うものです。調査官は、このときの子どもの様子などを観察して、調査報告書にまとめます。
 
裁判官が判断をする審判においては、調査官の調査報告書が裁判官の判断に大きな影響を与えるとされています。第三者の公平な視点で当事者の状況・環境を観察でき、親の前では素直な気持ちを打ち明けにくい子どもの本心を確認できると考えられるからです。
 
家事事件手続法には、子どもがその結果によって影響を受ける調停・審判の手続きにおいて、子どもの意思を考慮しなければならないと明記されています。また、子どもが15歳以上の場合は、審判において子どもの陳述を聴かなければならないとされています。
 

裁判所で決まったことを相手が守らないとき

裁判所の調停・審判で決まった面会交流の約束を相手が守らないときは、どのような手続きをとることができるでしょうか。

履行勧告

家庭裁判所に履行勧告という手続きをとることができます。手続き費用はかかりません。履行勧告の申出をすると、裁判所が相手に対して、約束を守るように説得したり、働きかけたりしますが、相手に対する強制力はありません。
 

間接強制

裁判所の調停・審判で決めた面会交流の内容が具体的な場合には、間接強制という手続きを家庭裁判所に申し立てることができます。
 
間接強制は、強制執行手続きのひとつです。「金銭を支払え」という取り決め内容を相手が守らないときは、預金口座を差し押さえたり、不動産を差し押さえたりして、取り決め内容を実現させる直接強制をすることができますが、「面会交流をさせる」という取り決めを直接的に相手に守らせることは困難(子どもを無理やり連れてくることはできない)なので、相手が一定期間内に取り決めを守らなければ一定金額を別居中の親に支払えと命じることで、相手に心理的プレッシャーを与えて約束を守らせようとする方法(間接強制)を利用します。
 
強制執行手続きでは、「債務名義」が必要です。調停調書や審判がそれにあたりますが、面会交流について間接強制をする場合、ただ「面会交流をすることを認める」のみ書かれていても、間接強制を認められない可能性があります。
債務名義には、権利の内容が具体的に記載されていること、相手に「〇〇させる」または相手が「〇〇する」と記載されていることが必要です。面会交流の場合は、少なくとも、面会交流の時期・回数・子どもの受け渡し方法などが記載されていて、相手が「面会交流することを認める」と記載されていることが望ましいです。
 
ただ、間接強制されて、お金の支払いを命じられても、同居中の親が面会交流に応じてくれるとは限りません。
 

再調停

面会交流の調停・審判は、何度でもできます。一度決めた面会交流の取り決めを、相手が守れる内容に変更するため、再度調停を申し立てることもあります。
 

損害賠償請求

調停・審判で決まった面会交流を拒否した親に、損害賠償の支払いを命じた裁判例があります。ただ、これも間接強制の手続きと同じで、お金の支払いを命じられても、同居中の親が面会交流に応じてくれるとは限りません。
 

最後に

面会交流については、それだけで争いになることもありますが、離婚調停や離婚訴訟と一緒に問題になることが多いように思います。そのような場合、当事者間の感情的対立が激しく、協力して面会交流を行うのが困難なことがあります。
 
別居中の親が生活費(または養育費)を払ってくれないから面会交流を拒否する、面会交流をさせてくれないなら生活費(または養育費)を減額する、面会交流をさせてくれるなら親権はゆずる、など、面会交流が駆け引きの道具になっていることがあります。
 
前編で述べたように、「面会交流は子どものため」です。「子どもの福祉が害されるおそれがあるといえる特段の事情」=面会交流を禁止・制限すべき事情がないのに、面会交流を拒否していると、子どもの親権者・監護者としての適格性が疑われ、「子の引き渡し」や「親権者変更」などの手続きをとられかねません。
逆に、別居中の親が子どもに同居中の親の悪口を吹き込んだり、面会交流の約束を守らずに子どもと面会するなど、子どもがストレスを感じるようなことをすると、面会交流を禁止される可能性があります。
 
面会交流についてお悩みの方は、まずは弁護士にご相談ください。

離婚問題コラム

18/09/26
裁判離婚するためには
18/08/20
離婚前提の別居に関するよくある質問
17/03/23
子どもと会いたい ~面会交流について 後編~
17/03/16
子どもと会いたい ~面会交流について 前編~
16/09/14
離婚時の年金分割について

一覧へ

お問い合わせ

047-472-4530

フォームからの相談のご予約はこちら

当事務所へのアクセス

大きな地図で見る

〒274-0825
千葉県船橋市前原西
2丁目13番13号大塚ビル5F
JR津田沼駅北口 徒歩2分

相続問題

SSL グローバルサインのサイトシール