相手が生活費を払ってくれない場合
監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 牧野 房江弁護士
民法で「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定められています。少し堅苦しくて分かりにくいですが、夫婦は、お互いの生活レベルが同じくらいになるように、結婚生活を維持するために必要な一切の費用(婚姻費用)を負担しあうということです。
別居中だとしても、夫婦であるうちは、婚姻費用分担義務があります。離婚裁判中でも同様です。相手が生活費を稼いでいるのに、それを渡してくれず、生活できない場合、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てられます。基本的に、調停では申立日以降の婚姻費用について決めるので、相手方が生活費を渡してくれなくなったら、とりあえず申し立てた方がいいでしょう。調停で決まらないときは、裁判官が判断(審判)します。
もちろん、渡してもらう婚姻費用は、多ければ多いほど有難いものです。しかし、調停や審判では、相手とご自身の収入から婚姻費用算定表に基づいて決められることが多いです。特別な事情がある場合などは、きちんと説明しましょう。また、一度決まった婚姻費用でも、事情が変わったときは、再度婚姻費用分担調停を申し立てることができます。
※婚姻費用については、「離婚までの生活費の決め方」もご覧ください。