離婚問題

例えばこんな離婚相談 ~その2~


前回「例えばこんな離婚相談 ~その1~」では、離婚したい妻からの相談例をあげ、経済的な環境を整える必要性について述べました。
今回は、「~その1~」の続きで、妻の離婚の決意が固く、ご実家があり、同居できるかまたは経済的支援をしてくれるという前提で、離婚する手順について話を進めます。

【妻の希望】

  • 一日も早く離婚をしたい。
  • 親権は、二人とも絶対に自分にほしい。
  • 慰謝料を払ってもらいたい。
  • 財産分与は、もらえるものならもらいたい。


 

【手順の一例】


手順の一例として、離婚に至るまでの経過を次に述べますが、これは、絶対にこうしなければならないとか、これが最良の策というものではありません。
相手があることですから、相手の出方次第で、手順も方法も変わります。

  1. 別居前に夫と離婚について話をしたことがない場合は、まず夫に離婚の意思を伝えます。
  2. 双方の両親が、夫婦の結婚について関わりがあったときは、双方の両親を交えて一度話をする方法も考えられますが、それは夫婦関係の修復を図りたい場合、つまり夫が反省して言動を改めてくれれば元に戻っても良いと思っている場合で、離婚希望の場合は無理してお膳立てしても、解決できる見込みは少ないと思います。
  3. 夫から「会って話がしたい。」と言われたら、一度は会うことをお勧めします。
    どうしても会いたくないのでしたらやむを得ませんが、とにかく結婚して子どももできたのですから、離婚したいのであれば、一度はその理由をきちんと夫に話すことです。
    場所は自宅に限りません。

    ただし、暴力を振るわれそうな場合や身の危険がありそうな場合は避けて下さい。会って離婚理由を説明しても、夫が納得することは、おそらくないでしょう。
    「~その1~」の例1の場合、夫にしてみれば、「給料は入れている」、「暴力は振るわない」、「不貞もしていない」、さらに付け加えれば「ギャンブルもしない」、「サラ金から借金もしない」、「まじめに会社勤めをしている」のですから、離婚される理由はない、ということです。
    夫の両親にしてみれば、こんなに良い息子はいない、という気持ちです。
    離婚したいと言うのは「妻のわがまま」であり、「妻の自分勝手」ということになるのです。
    話し合いは物別れでしょう。
    もし、ここで話がまとまるような夫婦でしたら、離婚話は起こっていないと思います。

  4. 次の一手として、次の3つの方法が考えられます。

    1. ご自分で家庭裁判所に離婚調停(夫婦関係調整調停)と婚姻費用(生活費)分担請求調停の申立てをして、ご自分で調停の日に裁判所に出頭する。
    2. 弁護士に依頼し、弁護士が夫に対し手紙を出し、夫と話し合いで離婚を進める。
    3. 弁護士に依頼し、弁護士が夫に対し離婚調停と婚姻費用分担請求調停を申立てる。



    どの方法が良いかは、双方の性格、実家を含めての経済力、社会的地位などいろいろな事情を考慮して決めることになります。


 

【妻の経済力が乏しい場合】


弁護士費用を払うのは負担になりますので、「a」のご自分で調停の申立てをすることをお勧めします。
申立の書類は、家庭裁判所でもらうか、インターネットで家庭裁判所のホームページからダウンロードすることもできます。
夫から、裁判所で認められている金額以上の生活費がもらえている間は、婚姻費用分担請求の調停申立は不要です。
婚姻費用(生活費)については、「離婚までの生活費の決め方」をご覧下さい。)

ご自分で調停を申し立てたものの、慰謝料や養育費をいくら請求してよいかわからないとか、調停委員からの質問にどう答えて良いのかわからないなど困ったときは、その都度弁護士に相談するか(相談料がかかることが多いです。)、途中から弁護士に依頼することもできます。

 

【弁護士が受任した場合】


弁護士が離婚事件として受任した場合は、妻の希望と以下の事情を勘案して、話し合いを求める手紙を出すか、話し合いをせずにいきなり調停の申立てをするか、方針を決めます。

  • 当事者間のこれまでの交渉の経緯
  • 夫も弁護士に委任しているか
  • 夫の職業
  • 夫が切れやすく、暴力を振るう傾向があるか など



夫に手紙を出した後、夫から連絡が来て、話し合いができそうな場合は、夫と弁護士が離婚の条件などについて話し合います。
夫に代理人の弁護士がついた場合は、弁護士間で直接会って話し合ったり、書面で条件の交渉をします。
話し合いで離婚が決まった場合は、「離婚についての合意書」を作成し、当事者または代理人が署名(または記名)押印します。
合意書を公正証書にする場合もあります。


合意書の内容は、主に、以下の項目になります。

  • 親権
  • 面会交流
  • 養育費
  • 慰謝料
  • 財産分与の金額・支払い方法
  • 荷物の引き取り方法
  • 自宅の鍵の受け渡し
  • 年金分割



合意成立後の離婚届の提出や、「子の氏の変更」手続き、荷物の引取りの際の立会いなどについても、引き続き弁護士がフォローすることが多いです。

 

【話し合いで解決できない場合は、離婚調停】


話し合いで解決できない場合は、離婚調停の申立てをします。
調停は、原則として相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てなければなりません。
(「離婚調停ってどんなもの?」もご覧下さい。)


離婚調停は、弁護士に依頼しても、調停期日には弁護士とともに出頭しなければなりません。
やむを得ない事情があるときは別ですが、「弁護士に任せたので自分は行かない」というわけにはいかないのです。
2回目以降の調停期日は、当事者の都合も聞いてくれるので、都合の悪い日があれば避けてくれます。


離婚するか否か、親権をどちらが取るか、ということについて夫も妻も譲らない場合は、財産分けの話をしても意味がないので、調停は早い段階で不成立となり、以後は、早く離婚したい方が訴訟を提起することになります。


離婚や親権については、理屈で相手を説得することはできません。
弁護士がついたからといって、夫が親権を譲ってくれるわけでもないでしょう。
ただし、「訴訟で争っても、夫は絶対に親権は取れませんよ」と根拠を示して主張することによって、夫があきらめてくれる可能性はあります。

 

【弁護士に依頼して有利になるのは】


弁護士がついて有利に話が進められる可能性があるのは、財産に関する問題です。
慰謝料について、妻がうまく説明できない事情を補足して説明したり、夫から「性格の不一致はお互いさまなので慰謝料請求はできない」と言われても、「妻は婚姻生活の維持について努力しているのに、夫は努力しないばかりか、逆に壊すようなことをしている」など違う観点から説明して、婚姻生活破綻の責任は夫にあると言って慰謝料請求の根拠を説明したりします。


財産分与については、訴訟になった場合に妻が夫からどのくらい財産分与を受けることができるかを見極めて、調停で話をつけるべきか、訴訟に持ち込む方が良いのか判断します。
そのために、専門的な知識と経験が必要になります。


分与すべき財産が多い場合や婚姻期間が長い場合、弁護士に依頼することをお勧めします。
夫の退職金見込み額など、まだ実際に手にしていない財産も分与の対象にできる場合があるからです。
生命保険も、婚姻後に保険料を支払った部分について、別居時の解約返戻金が夫婦の共有財産とみなされ、分与の対象となります。


調停で話がつかなかった場合、訴訟を起こさなければ離婚できません。
訴訟になった場合は、弁護士に依頼した方が良いです。
弁護士費用を支払えない方でも、一度弁護士に相談してください。
相談料はもとより、その後の訴訟の弁護士費用も、条件を充たせば日本司法支援センター(「法テラス」)を利用して貸付を受けることができます。
後日夫から金銭の支払いを受けたときは、そのお金で法テラスに費用を返還することになります。


次回は、結婚して20年で、不貞している夫から、離婚に応じなければ家を出ると言われている妻からの相談を例にしてお話しいたします。
(「例えばこんな離婚相談 ~その3~」)

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