子どもを虐待から守るために
監修:牧野法律事務所(千葉県弁護士会)
代表 牧野 房江弁護士
親による虐待という悲しいニュースが相次ぐ中、虐待から子どもを守るために、民法が一部改正されました。
これまでの民法にも、「親権の喪失」について定めがあり、親が親権を濫用したり品行が著しく悪いときに、家庭裁判所が親権の喪失を宣告することができました。しかし、「親権の喪失」は無期限で、条件も厳しかったため、あまり利用されてきませんでした。
そこで、今回の改正では「親権の喪失」に加えて、「親権停止」が新たに設けられました。「親権停止」は、「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するとき」に、家庭裁判所の審判により2年を超えない範囲で親権を停止する期間が定められます。
また、関連して次のような改正もされました。
- 「親権喪失」の条件に「父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるとき」と明記
- 「親権喪失」を請求できる人に子ども本人、未成年後見人、未成年後見監督人を加える
(「親権停止」も、子どもの親族、検察官のほか、子ども本人、未成年後見人、未成年後見監督人が請求できます。) - 子どもを「懲戒」できる条件として「子の利益のために子の監護及び教育に必要な範囲内」を明記
なお、未成年後見人とは、親権者がいない(両親が亡くなっている、親権喪失や親権停止中など)ときに家庭裁判所が選任する、未成年者の親代わりとなる者のことです。